食品消費税引き下げは、飲食店に追い風か|個人店が備えるべきこと

食品消費税引き下げは、飲食店に追い風か|個人店が備えるべきこと

食品消費税を8%から1%に引き下げるという議論が出ています。 
家計への負担軽減が目的で、一見、外食産業全体にとって良い話に聞こえます。

しかし、個人店にとってはそう単純な話ではありません。

消費税引き下げの仕組みをおさえておく

現在、食品(酒類・外食を除く)には軽減税率として8%が適用されています。 
外食は10%。

引き下げの議論では、この食品8%をさらに1%まで下げる、という話が出ています。 
対象は主にスーパーやコンビニで買う食品。 

外食がどこまで対象になるかは、現時点でははっきりしていませんが、恐らく対象外になりそうです。

ただ、仮に外食も対象になったとして、 その恩恵が個人店に均等に届くかというと、そうではありません。

大手・低価格帯には追い風、個人店には向かい風

食品消費税が下がれば、外食離れが加速します。

なぜなら、インフレに対して消費者の給料が上がっていないからです。
中価格帯の個人店への来店が、確実になくなるわけではありません。
しかし、低価格帯の大手へ流れる可能性は高くなります。

胃袋の数は変わらないなか、低価格帯のお店へ消費者が流れれば、必然的に個人店への流れは減ります。

そうなると、シンプルに客数減で減収になります。

2年間で「習慣」が変わるリスク

ここが、最も警戒すべき点だと思っています。

コロナ禍で飲食店が打撃を受けたとき、 コロナ明け後には「外食の反動消費」がありました。 
我慢していた分、外に出たいという気持ちが背中を押したわけです。

しかし、今回は性質が違います。 

食品消費税引き下げによる低価格帯への流れは、 「個人店に行かない習慣」として定着する可能性があると考えています。

もちろん全ての消費者が、とは思いませんが、一定数の方が〝個人店に行かなくてもいいかも〟となり、戻らなくなる可能性、もしくは戻るまでに時間がかかるかもしれません。

食品消費税は2年間限定でその後戻りますが、消費税が元に戻っただけ。
感情面で、個人店に足を向かわせる要素はありません。

その時点で、消費者の実質賃金が上がっていなければ尚のこと。
むしろ、人の心理による〝習慣の定着〟に脅威を感じています。

一度変わった習慣は、戻りにくい。

コロナ以降、飲み方が大きく変わったように、これが習慣化したら、数年は厳しい状況が続くかもしれません。
コロナ明けの反動は読みやすかったですが、今回は性質が異なるため、読みづらいです。

個人店が今のうちにやっておくべきこと

では、個人店でもテイクアウトが有利になる?と思うかもしれません。

しかし、価格と提供スピードにおいて大手には勝てません。
そのうえ、今回は家計の負担を軽減するためのもの。

いくら料理の質が良くても、価格で選ばれやすい状況である、ということが個人店にとっては不利とも言えます。

これは、個人店のテイクアウトがだめだ、と言っているわけではありません。
テイクアウトという武器を持っていても楽観視はできないかも、ということです。

個人店でやれること。

それは 「ここにしかない理由」を強化することだと思っています。

季節ごとに変わるメニュー。 

来るたびに少し違う体験。 

顔を覚えてもらえる距離感。

大手が提供できないものを、淡々と積み上げる。 

それが、習慣の変化が起きても生き残れる店の条件になるかもしれません。

嵐が来る前に、根を張っておく。 

情勢が変われば、波に揉まれるもの。

そのなかでどう立ち回るのか。

仮説を立てて、想定し、備えておく。
気持ちの上でも。

しばらくは耐え忍ぶ時期。

今はそういう状況だと思っています。