飲食店経営の落とし穴!「善意のアドバイス」が命取りになる理由

飲食店経営の落とし穴!「善意のアドバイス」が命取りになる理由

開業はゴールではなくスタート

将来の独立を夢見て、ついに手にした自分のお店。

しかし、そこで満足してはいけません。

開業はゴールではなく、新たなスタートと言っても過言ではありません。

開業後は、売上、料理のクオリティ、方向性、人材育成、税金対策など、さまざまな課題に直面します。

すべてを自己解決できれば良いですが、ときには人の知恵を借りることも必要です。

雑談や情報収集の中から、思わぬ解決策が見つかることもあります。

しかし、相談相手の意見が必ずしも正しいとは限りません。

人に相談しておいて生意気だと思われるかもしれませんが、最後に決断をするのは店主である自分です。

なぜなら責任を負うのは自分だから。

人のアドバイスは「参考程度」に

最終的な決断を下すのは自分

誰かに相談してアドバイスをもらうことは有益ですが、最終的に決断するのは店主である自分です。

なぜなら、責任を負うのは自分だから

相談相手はあなたの事業に対して責任を負いません。そのため、言われたことをそのまま鵜呑みにして行動するのは危険です。

誰に相談するべきか?

相談相手としては、先を行く飲食店の先輩、他業態の経営者、信頼できる知人などが考えられます。

ただし、どんなに信頼できる人の意見でも、すべてを受け入れる必要はありません。

人のアドバイスは半分程度に聞きましょう。というとキツく聞こえるかもしれませんが、

大切なのは、「このアドバイスは自分のお店の方向性に合っているか?」と冷静に判断することです。

どんなに自分の課題を上手く人に伝えるスキルがあっても、自分が行きたい方向性は自分にしかわかりません。

大前提としてアドバイスを頂けることはとてもありがたいことですが、一歩引いて俯瞰して冷静に見ることも必要です。

注意すべきアドバイス

ときには、素直に実行することが大切な場面もあります。しかし、言われるがままに実行するのは危険です。

当たり前ですが相談者は責任を負いません。

例えば、銀行員や税理士、コンサルタントからのアドバイスは、あくまで一般論や理論に基づくものが多いため、自分の店の実情に合っているか慎重に見極める必要があります。

最後に責任を負うのは自分だからこそしっかり考え自分で決断する必要があります。

銀行員は経営者ではない

実際に受けたアドバイスの例

僕が実際に銀行の担当者から受けたアドバイスがあります。

「1000円以下で食べられる定食があれば助かります。」

この意見を取り入れるべきかどうか、冷静に考えました。

当時の客単価は1500円前後。もし1000円以下の定食を導入すると以下の問題が発生します。

  1. 客単価が下がる → 収益を維持するためには、より多くの客数を対応しなければならない。
  2. 手間が増える → 仕込みや調理時間が増え、効率が悪化する。
  3. ターゲット層が変わる → 店のコンセプトとズレが生じ、ブランディングが崩れる。

このように、銀行員のアドバイスをそのまま取り入れると、事業の方向性がぶれてしまう危険があります。

もちろん、すべてのアドバイスが間違っているわけではありません。しかし、銀行員は経営者ではないため、僕の店のコンセプトや事情を完全には理解していないのです。

今回の要望に対する考えはあくまで僕お店のコンセプト、現状における戦略として適していないだけなので全てのお店に当てはまるわけではありません。

仮に加工品を扱うような専門性の低いお店であれば出数を増やしてぶん回して数字を上げるという戦略もありですが、個人店の専門性の高いお店では不向きな戦略です。

この経験から学んだことは、「人のアドバイスを鵜呑みにするのではなく、自分の店に合うかどうかをしっかり見極めることが大切」ということです。

開業後は「課題と向き合う力」が試される

開業後、避けて通れないのが「課題」との向き合い方です。

売上、税金、スタッフの管理、お客様の満足度、マーケティング……経営者として考えるべきことは尽きません。

しかし、今はインターネットや書籍など、情報を得る手段が豊富にあります。

情報を収集し、精査しながら、自分の判断で最適な方法を選ぶことが大切です。

課題から目を背けるのは簡単ですが、それでは経営は改善されません。

真正面から向き合い、ときには柔軟に対応しながら、少しずつ解決していくことが重要です。

僕が意識している「アドバイスとの向き合い方」

では、僕はアドバイスにどう向き合っているのかというと、

僕は他人に相談することは少なく、「自己完結型」のタイプです。

理由は、自分の考えをすべて言語化するのが苦手だから

また、伝えきれない部分があるため、相手に正確に理解してもらうのが難しいと感じています。

その代わり、常にいろんな「課題」を頭の片隅においていてアンテナは張っているので、取りにいった情報からヒントを得ることもあれば、人との雑談から得られることもあります。

僕が意識していることは『いかに課題に向き合い続けるのか』です。

リスクを負って経営者になるということは「課題」と向き合う覚悟を決めなければなりません。

求めていないアドバイスをもらったら?

経営をしていると、たまに求めてもいないアドバイスを頂くことはあります。

そのときは頭の中でシミュレーションしますが、「自分の店に合っているか?」を考えます。

  • 合わないなら取り入れない。
  • 参考になる部分があれば、アレンジして取り入れる。

逆に意見を求められてアドバイスすることもありますが、僕が相手のすべてを理解しているわけではないので参考までに聞いてもらってあとは好きに判断して貰えばいいと思っています。

最終判断は「自分自身」

何事も最終的な判断を下すのは自分です。

アドバイスに振り回されることなく、冷静に情報を精査し、必要なものだけを取り入れましょう。

そして、課題と向き合い続けることで、経営者としての成長につながります。

アドバイスは参考程度に、判断は冷静に。経営者としての覚悟を持って、自分の道を切り拓いていきましょう。