コロナ後バブルの終わりと、2025年に待つ飲食店の現実

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コロナ後バブルの終わりと、2025年に待つ飲食店の現実

2025年の飲食店の客足の傾向

2025年今年は昨対で、10〜20%減のお店が増えると予測しています。

去年、2024年は“コロナあけ”ということもあり、それまでに燻っていた人が一気に動き出しました。
僕自身も「売上が跳ねる可能性がある」と予測していましたが、結果的に昨対120%を達成。

ただ同時に、コロナ特需による反動減が起きる可能性も見ていました。
「行きたかったけど行けなかった層」が動いたことで、一種の“開放バブル”が起き、それが沈静化すれば鈍りが出るだろうと。

そして、2025年はまだ終わっていませんが、今のところどうでしょうか?

反動減に加え、物価高・米騒動が追い打ちに

今年に入ってからも、さらなる物価高や米騒動などが続きました。
その影響か、大手飲食チェーンの客足も鈍っているようです。

ランチ需要のあるお店でも、かつてのような賑わいを感じにくくなっています。
たまたまかもしれませんが、僕のお店でも10数%の減少が見られます。

この背景には、

  • 去年の反動減
  • 物価高
  • 米騒動

これらが複合的に重なり、外食控えの傾向がより強まっていると感じます。
もし米騒動がなければ、ここまでの落ち込みにはならなかったかもしれません。

個人店だから影響が少ない、という考え方もありますが、お客様は大手も個人店もどちらも利用しています。
胃袋の数は決まっているので、全体の流れは無視できません。

大手チェーンが見せる“価格を下げずに値頃感を出す”動き

サイゼリヤを除けば、多くのチェーン店はここ数年で価格改定を進めてきました。
ただし、通常メニューの値下げには踏み込めず、“セット商品”や“期間限定価格”によってお得感を演出する戦略を取っています。

たとえば「アプリ限定価格」「朝食セット」「ランチ割引セット」など、値下げはせずに値頃感を出す方法が目立ちます。

一方、すき家は例外的に、デフレ時代のような“並盛の値下げ”を打ち出しました。
これは異物混入騒動で失った客足を取り戻す狙いでしょう。

現在のような物価高の中で、他の大手が値下げに追随する可能性は低いと見ています。
ただ、もしもこの施策で売上が改善した場合、他社が追従するリスクもゼロではありません。
そうなれば、また皆で疲弊する時代に逆戻りしかねません。

2025年も値上げへ踏み切る理由

そういった流れの中で、2020年から毎年のように価格改定をしてきた僕自身も、今年はどうすべきか迷っていました。

しかし、最低賃金のさらなる引き上げが決まったことで、迷いはなくなりました。
今年も値上げを実施します。

もちろん、食材高騰の影響もありますが、それ以上に人件費の上昇が重くのしかかります。

ただし、最低賃金が上がること自体は“良いこと”だと思っています。
これまで上げられてこなかったことが問題だったとも言えるし、経営者側もそれを受け止める覚悟が必要です。

だからこそ、持続可能な経営をするためにも、価格への転嫁は避けられない判断だと考えています。

恐れるのではなく、冷静に対処する

経営とは、常に良い状況ばかりが続くものではありません。
悪いときもある。そのたびに感情が乱れていては、判断を誤ってしまいます。

予測が当たるかどうかは別として、自分なりに見立てを立て、備えること。冷静に状況を受け止めること。

恐れや焦りではなく、“現実にどう対処するか”を考える。

その積み重ねこそが、前に進むための土台になると信じています。