潰れないお店は何が違う?飲食店が築くべき“信頼”の作り方

潰れないお店は何が違う?飲食店が築くべき“信頼”の作り方

見えない信頼残高を積み上げる

お店を継続するために必要なことはなんですか?と聞かれることがあります。

必要なことは一つではありませんが、大きな要因として上げるなら『信頼』です。

「信頼を築き上げるには時間がかかるが、信頼を落とすのは一瞬」とはよく言われること。

約束は守る、借りたお金は返すなどは当たり前。

もしも約束が守れないなら事前に伝えることで逆に信頼が高まります。

少額でも身内にお金を借りたなら期限を決めてきっちり返しておくと信頼は少しずつ積み上がり、いざ自分が開業するときにお金を貸してくれるかもしれません。

それをないがしろにする人は信頼を損ないます。

飲食店経営も一緒で、僕たちが意識すべきはお客様から信頼を得ること。

そのためにどうすべきか?どうあるべきか?

目に見えない『信頼残高』を常に意識していくことが大切です。

信頼を落とさないためのポイント

信頼の積み上げで、できることはいくつかあります。

衛生管理の徹底

お店もスタッフも清潔感は大事。

料理の質を一定に保つ

どんなに忙しいときでも、料理のクオリティを落とさないように研鑽を積む。

ステルス値上げをしない

食材費などが上がるなか、価格は据え置きだけどポーションは小さくする行為はやらないほうがいい。ポーションはそのままで価格は謙虚に上げる。

メニュー写真を大袈裟に撮らない

見栄えを良くするために量を増やして写真を撮り、実際に提供されたときのギャップが激しいと残念な気持ちになる。マーケティング的には必要かもしれないが時代遅れ。

価格に見合った価値提供をする

僕らはただ料理を提供するわけではなく、料理を通じて価値提供をすることも役割の一つ。そのために技術を学んで磨くこと。食材もかけるべきところはかけることでお客様の満足度を高めることにも繋がります。ただし独りよがりにならないよう注意も必要。

など、人をあざむこうとしない誠意ある対応が重要です。

自問自答を繰り返す

僕のお店にも定番メニューもあれば季節メニューもあります。

定番メニューであっても定期的に食べてチェックしていますし、季節メニューも始める前に必ず食べてチェックして、この味でいいのだろうか?何か一手間を加えてブラッシュアップできないだろうか?この価格と量で満足いただけるだろうか?自分の加齢の影響で感じ方が変わっていないだろうか?など自問自答しています。

常に振り返ることでオペレーションの改善点が見つかって効率化が進んだり、ブラッシュアップしてより指示を得て出数が増える。

料理の信頼が上がり認知が広まれば、他の料理を頼んでもらえるきっかけになり、客単価も上がって全体の収益増に繋がります。

数字を上げるには客数を増やすことも大事ですが、客単価を上げることも重要な要素の一つ。

開業当初から比べると客単価は3〜4割上がっています。

値上げした部分もありますが、それだけだとここまでは上がりません。

10年以上経営した今だからこそ言えますが、料理に対する信頼を得た結果と言えます。

情報を出すことも信頼

今はSNS時代。

Instagram、Facebook、TikTok、note、Googleマップなど自分の時間を投下しなければいけないがお金をかけずに情報を出せる時代です。

仕事の裏側はお客様には見えません。

SNSを活用して普段は見えることのない仕込みの風景や手元の作業などをアップすることでお客様にとって新しい発見があったり、この料理にはこれだけの手間がかかっているんだということを知ってもらうことで信頼に繋がります。

自分のアピールばかりになると見る側も嫌になるので上げる情報のバランスは大事ですが、SNSを活用しない手はありません。

インスタはちょいと前までは「やったほうがいいよ」から今では「やらなきゃダメだよ」と言われていますし、やろうとするとどういう画角、構成で写真を撮ればいいのか?どのような文章をかけばいいのか?どのようにアピールすればいいのか?アンチにはどう対応すればいいのか?など課題が出てきます。

日々の仕事の中でそれらに向き合うのは大変かもしれませんが、それぞれに向き合ったことは今後必ず生かされるので身につけて損のないスキルと言えますね。

信頼なくして存続なし

信頼を得るというのは当たり前のことと感じるかもしれませんが、その当たり前から目を背けて足を落とす人もいます。

とても地味で泥臭く感じるかもしれません。

しかしどんな仕事でも価値提供をし、その対価としてお金をいただいて、その資金でお店を運営して存続しています。

飲食店経営も都合のいい一発逆転の策などありません。

地道に、泥臭く信頼を積み上げたその先にお客様から指示をされ存続できるもの、信頼を得るための姿勢、誠意ある対応がお客様の満足度に繋がります。

精神論的に思われるかもしれませんがとても大切なこと。

信頼の積み上げは短期で成せるものではありません。

むしろ一生向き合っていく必要がある。

お店を長く経営していても天狗にならず、初心を忘れず、奢らず、腐らずに進んでいきたいものです。