コロナ後、生き残る居酒屋の条件とは?令和の飲み方に合わせた経営戦略

コロナ後、生き残る居酒屋の条件とは?令和の飲み方に合わせた経営戦略

「またみんなで飲みに行こう!」

——そんな言葉が当たり前だった時代は、もう戻ってこないのかもしれません。


コロナ禍を経て、私たちの“飲み方”は大きく変わりました。
大人数の宴会は減り、少人数でのスマートな食事会が主流になりつつあります。
そしてその変化は、居酒屋経営にも確実に影響を及ぼしています。

本記事では、私自身の体験をもとに、コロナ後に変わった飲食の現場のリアルと、これからの居酒屋が生き残るために必要な考え方、取り組みについて具体的にお話しします。

「今のままで、この先やっていけるのか?」
そう感じている飲食店経営者の方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

「飲み方」が変わった現代

2020年に新型コロナウイルスが日本に上陸し、経済は一気に冷え込みました。

飲食業界も大きな打撃を受け、私の店も例外ではありませんでした。

通帳残高が底をつきかけ、国の支援金に助けられながら何とか営業を続ける…そんな日々が続きました。

「いつお客様が戻ってくるのか?」という不安が常にありました。

しかし、幸運なことに、数ヶ月後からお店は回復。

コロナの時期は年商は落ちるだろうと覚悟をしていましたが、コロナの影響の大きかった2020〜2023年もすべて黒字で乗り越えることができました。

テイクアウト系のお店は逆に好調で、パティスリーなどは〝コロナ特需だ〟なんて話を聞いたもんです。

一方、同じ飲食店でもお酒を主力とする居酒屋やバーは、特に大きなダメージを受けました。

コロナ後、飲み会スタイルが激変

コロナ後によく言われていたのが、以下のような変化です

  • 大人数の飲み会が減った
  • 会社利用が激減
  • はしご酒はほぼ消滅
  • 少人数で一次会だけの解散が主流に
  • 1回あたりの単価は上がる傾向

実際に、周囲の状況を見てもこれらは的を射ていると感じます。

回転率が落ちた居酒屋の今

以前であれば早い時間帯と遅い時間帯の予約が埋まり、良ければ2回転できていました。

しかし今では、早い時間の予約はあるが〝その次がない〟という傾向が高く、取れるはずの数字が取れない状態です。

これまでなら波のある居酒屋さんでも、大人数の宴会予約が入れば大きな金額が動いて一発逆転、なんてことも期待できましたが、これからはそうはいきません。

もちろん大人数の宴会がなくなるわけではありませんが、その層は確実に減ります。

なので最近は、多くの居酒屋が「利用時間の制限」を導入しています。

2〜2.5時間。

短いところだと1.5時間。

消費者の飲み方が変われば、お店の対応も存続するために変わらざるを得ません。

だらだら何時間も居座られて、お金を生み出さない席が発生するなら、時間制限を設けて強制的に退店していただく、そして次のお客様を入れていかねばなりません。

飲み方が変わった今、お店としては“対応できる客数”を増やすことが何より重要です。

小規模・高単価・予約制の時代へ

これから強いのは、次のような居酒屋です

  • 10席以下の小規模店舗
  • 2部制(時間制限付き)
  • 完全予約制
  • 単価1万円前後のプレミアム志向
  • 夫婦など最小人数で運営

経営で大きな経費の一つが〝人件費〟なので社員を雇わないサイズ感のお店がポイント。

人件費を抑え、質の高い料理と空間を提供できれば、数字的にも十分に成立します。

駅周辺は家賃が高いですが、人の動きは確実に多いので、完全予約制にしても10名以下であれば予約が埋まりやすい。

予約が埋まる=予約が取りにくい=予約の取れないお店と認識され、お店の格が上がります。

すごく雑な計算になりますが、仮に以下のような条件だとします

  • 客単価:1万円
  • 席数:8席
  • 2部制(2回転)
  • 営業日:月24日

1日売上:16万円 × 24日 = 月商384万円

  • 食材費(F):30% = 約115万円
  • 家賃(R):20% = 約77万円
  • その他経費:約50万円

利益:約120万円(夫婦2人で運営)

あくまで概算ですが、これだけの利益があれば老後の資金までしっかり貯蓄できるレベルです。

ちなみにこのケースに近いお店に行ったことがあります。

予約は1ヶ月以上先の日程でやっと取れました。

ソフトドリンクで楽しむ時代へ

こうした層に向けて「ここでしか飲めないドリンク」を提供するなど、居酒屋側も新たな価値づくりが必要になるでしょう。

とはいえ、「お酒を飲まないの?」という雰囲気を出されると、正直ガッカリします。
お店としてのスタンスは自由ですが、多様な楽しみ方を受け入れてくれる空気感が、これからは求められると思います

若者のお酒離れはよく言われるなか、ソフトドリンクと料理で会話を楽しむ層が増えていると思っています。

実は僕もその内の一人で、体質的にアルコールが苦手なため、随分前からソフトドリンクで食事を楽しむことが多いです。

雑談から得る気付きは大きいですからね。

その場合、僕がハンドルキーパーを進んでやっています。

ただ、居酒屋さん的には料理よりも、提供に手間のかからないお酒が出てくれた方がいいのかもしれません。

僕も飲食店なので、お店にお金を落とそうと、ソフトドリンクを4〜5杯飲むようにしています。

こうした層に向けて「ここでしか飲めないドリンク」を提供するなど、居酒屋側も新たな価値づくりが必要になるでしょう。

とはいえ、「お酒を飲まないの?」という雰囲気を出されると、正直ガッカリします。
お店としてのスタンスは自由ですが、多様な楽しみ方を受け入れてくれる空気感が、これからは求められると思います。

飲み方が変わるなら、提供のあり方も変わる。
そんな時代に合った居酒屋のあり方を、考えていく必要があるのかもしれませんね。

まとめ:変わる時代に、柔軟に応える店づくりを

コロナによって人々の“飲み方”が変わりました。
それに伴い、居酒屋の経営スタイルも見直しが必要です。

これから生き残る居酒屋は「小規模・高単価・予約制」など、時代に合った戦略を持つ店。
また、お酒だけに頼らず、ドリンクや空間で価値を提供できる視点が欠かせません。

時代の変化はピンチではなく、チャンスでもあります。
その流れを読み、柔軟に舵を切ることが、これからの居酒屋経営のカギとなるでしょう。