
「美味しい」は主観

美味しいの基準ってなんだと思いますか?
知人が言っていたから?
家族が言っていたから?
料理人が言っていたから?
芸能人が言っていたから?
個人的に、詰まるところ「個人の好み」だと思っています。
つまり、美味しいに正解はないということになります。
自分にとって「美味しくない」と感じるお店があっても、不思議と長く続いている場合があります。
それはつまり、そのお店には「美味しい」と感じて通い続けるお客様がいるということです。
- 料理
- 雰囲気
- 価格
- 店主の人柄
- 立地
もしかすると、支持されているのは料理以外かもしれません。
どういった形であれ、存続している=支持されていると言えます。
ここから見えてくるのは「自分の美味しいがすべての美味しいではない」
ということは、自分の提供している料理も、もしかするとただの独りよがりの産物かもしれません。
その料理の注文が明らかに減ってきた場合は、味や盛り付け、価格など何かしらの改善ポイントがあるかもしれません。
そして、定期的な味のチェックも必要です。
もしかすると、味や見せ方のトレンドが変わっているのかもしれない。
自分が年を重ねるにつれて、味わい方が変化しているのかもしれない。
自分の味付けがズレているのかもしれない。
とは言え、誰かが導いてくれるわけではありませんので、俯瞰して見る目と、決断が重要になってきます。
「有名人=美味しい」の錯覚

「よく有名芸能人が行ったお店だから美味しい」
「海外の本場のシェフが作るから美味しい」
とういうことがあります。
果たしてこれも本質なのでしょうか?
答えは「いいえ」です。
どちらにしても、先入観や期待によって味の印象が変わることはよくあることで、これは一種の「味覚の錯覚」と言えるかもしれません。
芸能人が関わるお店や、本場シェフの料理でも、長く支持されるとは限りません。結局は、お客様一人ひとりの感覚や好みに合っているかどうかが大切なのです。
このことからも、「〇〇だから美味しい」というのは錯覚に過ぎず、本質的な価値とは言えません。
本当に支持されていれば、自然とお客様は足を運び、店も存続しているはずなのです。
「行列=美味しい」の錯覚

本物の人気で、行列のケースもありますが、意図的に創られた行列もあります。
これを「行列プロモーション」といいます。
テイクアウトで新規にできたお店での話。
オープン時に並んでみたことろ、数十人は並んでいました。
こちらのお店のインスタでは、他店舗でも行列ができていることを存分にアピールしています。
店内を見ると、一組づつ店内に入れている様子。
レジは1台。
なかなか進まないと思い離脱をし、昼食をとって1時間後に戻って見に行ったところ、オープン時に並んだときの一つ前のお客様がようやく退店していました。
ということは、あのまま並び続けていれば1時間後にようやく店内に入れたことになります。
実際に感じた疑問点は以下の通りです。
・オペレーションに改善の余地がある
・レジをもう1台増やせば、待ち時間の短縮が見込める
・1組ずつ案内する場合でも、事前注文で回転を上げられる可能性がある
・スタッフの動きにも、もう少しスムーズさが求められそう
これが初めてのお店であれば、これから改善すればいいのですが、多店舗展開をしているにも関わらず、このような対応が改善されていないとなると、「もしかすると意図的に行列を演出しているのかもしれない」とも感じました。
なぜならば、行列プロモーションを活用することで「行列=美味しい」という錯覚を生み出したいからだと思います。
評価と向き合うために必要なもの

自分の美味しいに正解がないということは、人の意見も同じと言えます。
飲食店を経営していると、ネット上にさまざまな口コミを書き込まれて、提供している料理に自信が持てなくなるかもしれません。
そういった不安に向き合い方があります。
美味しさに正解はない。だからこそ必要な「柔軟さ」と「芯の強さ」

「美味しい」という感覚は人それぞれ。
自分にとって美味しくないと感じる料理も、誰かにとっては通い続けたくなる味かもしれません。
芸能人が紹介していたから、本場のシェフだから、行列ができていたから──。
そんな“先入観”による「美味しさの錯覚」は意外と多く存在します。
本当に支持されるお店とは、ブームに乗るのではなく、日々の積み重ねと誠実な改善を続けられるお店。
そして、自分の料理が支持されているかどうかは、「実際に注文され続けているか」という事実が何よりの証明です。
他人の評価に過剰に振り回される必要はありません。
けれど、注文数が落ちてきたのなら、味・盛り付け・価格など、冷静に見直す視点も必要です。
大切なのは、「誰のために」「どんな価値を届けたいか」という軸を持ちながら、
変化にも対応できる柔軟さを忘れないこと。
正解のない“美味しさ”の世界だからこそ、自分の料理と丁寧に向き合う姿勢が信頼と継続を生むのです。